「生の檻にて」

とくしゃがほしい

西日暮里のホームの
縁の下
西日の餌食となって
身悶えながら
哀願したあなたよ。

あたえましょう
あたえましょう
千載一遇のとくしゃを

あたえましょう
なお
あたえましょう
末広がりの空虚に照らされた
不変という
火なたぼっこを。

泣くには及びません。

そこでえいえんに
ときをすごしなさい。
不変という
くったくのない
つかみどころない
のっぺりした海綿体の中で。

しかしなお
あなたは泣くというのですか
あなたよ
うれしくうれしく
泣くというのですか。

照る月のかげをみうしないしあなたよ
西日にやつざかれながらも
とくしゃを求め続けるあなたよ

その
体温
だけは
けっして
わすれませぬ。