「クロッカスのおしべの山あいにて 」

クロッカスのおしべの、奥の、山あいに、ぼうふらどもは、きめ細やかな、せせらぎをもち、沸く。
そのせせらぎ、ぬわぁりぬわり。割箸太郎左衛門中を引っ掻き回そうとするも、ようどちんきに満たされたクロッカスのおしべの山なみは、潮を吹き、割箸太郎左衛門をこほりつかす。
 

  クロッカスのおしべの奥の山あいを照らす太陽が、ガッちゃんに一目ぼれする最波川の偽モグラであることに気づかず、割箸太郎左衛門はいそぎんちゃくを食らう。いそぎりん、ぎりん、ちゃ。いっそぎりんぎりんちゃ。海溝の中空で騒ぎまわる山葡萄のせせらぎどもの間で、一人のいそぎんちゃくの瞳が、葉巻吹かし、もやしの頭塗り込める。夕焼けに咲くカラスのようにいそぎんちゃく、もやしのあたまを塗り込め塗り込め、湯気たらす涎のさえずりに嬉々として、いそぎんちゃくの瞳はしっこを垂らす。
 

 一方、土橋川のほとりにておみなえしを肴に、一杯やる銭形警部の心臓に潜む法螺貝のうんこは、ぎゃスパーぎゃスパー響き渡り泣き叫び、豆腐を食らう。ゴフゴフ、ゴフ、ゴフ喰らう法螺貝のうんこ。グルメに疾駆する心臓のうんこ。ぎゃスパーぎゃスパー響き渡り泣き叫び、グルメに疾駆し、踊りだし、改めていそぎんちゃくを思い出す。「あんとき、食っちまえば良かった。一思いに食っちまえば良かった。」悔恨に狂酔する法螺貝のうんこ。それにかぶりつかれた真っ白な木綿豆腐は、真っ赤な鮮血をそこら中に撒き散らす。真っ赤に染まった木綿豆腐は食いつかれ咀嚼され、ついにうんこに食い尽くされ、真っ白な木綿豆腐はうんこと一緒になる。そのような過程を経て、初めておみなえしは生まれる。
 
 
 おみなえしスペシァルぼーふらカスタム。すべからくすべからく、すべからくすべからく。どよめき立ついそぎんちゃくの体内の溶接炉に割箸太郎左衛門ほうりなげ、銭形警部をほうりなげ、ぼうふらどもを放り投げ、すべてをチキチキの泉へと誘うミカエルの丁稚として、おみなえしは再就職する。派遣社員はもう終わり。これから正社員、丁稚オミナエシとして親方ミカエルの手下となる。
 
 クロッカスのおしべの、奥の、山あいに、ぼうふらどもは、きめ細やかな、せせらぎをもち沸く。
 あいかわらず。本日も、沸いているようでありました。